緩和ケアとは?
緩和ケアとは、重篤な病気に直面している患者とそのご家族を支えるための医療および看護のことです。病気の改善のために苦しみを和らげ、治療を円滑に進めることを目指します。
がん、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、腎不全、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの重篤な慢性疾患に対して提供されることが一般的です。
病気そのものの治療ではなく、症状の緩和、苦痛の軽減、生活の質の向上に焦点を当てています。
痛み、吐き気、呼吸困難などの身体的な症状を緩和します。心理的な問題も対処します。またご家族のサポートも対象とし、ケアの一環として重要視されています。
ホスピスケアとは?
ホスピスケアは、重篤な病気の終末期にある患者とその家族に対して提供されるケアです。緩和ケアの一部として位置づけられますが、治癒が望めない時期から終末期について行われる処置のことで、生命の最終段階に焦点を当てています。
ホスピスケアとターミナルケアとの違いは?
ターミナルケアは、患者が生命の最終段階にあると診断されたときに提供されるケアのことを指します。主な目的は、患者が残された時間をできるだけ快適に過ごせるようにすることです。終末期の明確な期間が決まっており、一般的に余命が6か月以内と予測される患者に対して提供されます。
ホスピスケアは、ターミナルケアを含む終末期の患者に対する広範なケアのことです。
緩和ケアを受けるための順序
1. 医師との相談
最初に、主治医に緩和ケアの必要性について相談しましょう。主治医は、患者の状態や症状に基づいて緩和ケアの必要性を評価し、適切なケアを紹介することができます。
2. 緩和ケア専門の医療機関やチームへの紹介
主治医が緩和ケアの必要性を認めた場合、専門の緩和ケアチームや医療機関に紹介されます。(病院内の緩和ケアチーム、ホスピス施設、在宅緩和ケアサービスなど)
3. 個別のケアプランの作成
緩和ケアチームと一緒に、患者の症状、希望、生活状況に応じた個別のケアプランを作成します。痛み管理、症状緩和、心理的支援、家族サポートなどが含まれます。
4. 緩和ケアの提供場所を選択する
病院: 専門の緩和ケア病棟やホスピス病棟
在宅: 自宅での緩和ケアサービス(訪問看護師や訪問医師がサポート)
ホスピス施設: 専門のホスピス施設でのケア
老人ホームや介護施設: 緩和ケアサービスが提供されることも
5. 保険と費用の確認
医療保険や公的支援の確認をしましょう。
緩和ケアの多くは医療保険の対象となります。日本では、公的医療保険で緩和ケアやホスピスケアがカバーされることが多いですが、具体的なカバー範囲や費用については、医療機関や保険会社に確認する必要があります。
6. 家族や介護者との話し合い
緩和ケアは、患者だけでなく家族や介護者の協力も重要です。家族と一緒にケアプランを確認し、役割やサポート体制を話し合いましょう。
7. 継続的な評価と調整
緩和ケアは継続的に評価され、必要に応じてケアプランが調整されます。症状の変化や新たなニーズに対応するために、定期的な見直しを行います。
日本では、2000年代に入ってから緩和ケアの重要性が広く認識されるようになりました。病院やホスピス、在宅医療の現場での導入が進んでいます。
緩和ケアは、患者とそのご家族が病気と向き合う際に、心身の苦痛を軽減し、より良い生活の質を保つための重要なアプローチです。
医療技術の進歩に伴い、緩和ケアの重要性と必要性はますます高まっています。